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TOPインタビュー・ハイライト

TOPインタビュー・ハイライト  18年年度下期

10/1掲載 日本経済大学 教授 生田 章一 氏
――中国は、自国に対しては保護主義の塊だ…。
 生田 中国は、海外には自由市場経済を求めるばかりで、外国企業に対しては技術移転の強要、外国からの投資に対する差別的規制、為替の統制を行っている。また、国内では、二重戸籍制度による低賃金労働の活用、国内企業に対する不明瞭な補助金、政府部門による戦略的な調達、政策金利による膨大な銀行利益を背景とした戦略的融資を行っている。さらに、中国企業にだけは甘い独占禁止法の運用、経済協力・援助と一体となったヒモ付き輸出、電子商取引での国内市場の囲い込み等、多くの点で市場経済国家とは程遠い政策を行っている。つまり、国全体で重商主義的輸出・戦略産業の育成を続けており、このような形で中国だけが一人勝ちを続けて巨大化していくこと自体が、将来、確実に世界経済のリスクとなる。中国からすれば、この都合の良い体制がトランプ大統領によって初めてストップをかけられたということで、私はトランプ大統領の非常識ばかりを責めるべきではないと思っている。日本も「ディール」という形で、各種の譲歩を求められているが、日本は公正な市場経済運営を行っているという点で、中国とは全く違う。同盟国である米国の立場に可能な限り配慮する必要はあるが、この点は中国と同類にされるべきではない。

――中国経済の最大の問題は…。
 生田 中国主要企業の中に中国共産党の組織を置いていることと、定款の中に「共産党の方針に従う」と書き込ませていることだ。要するに、市場経済国家としての建前を放棄しているということ。そこには共産党の序列の高い人も多くいる。そんな中で、中国のお金が世界中に出回っている。金融市場も例外ではないが、幸いにして日本のマーケットには流れてきていない。東京株式市場では、今、約7割の外国人投資家が売り買いしていると言われているが、これに中国の資本が加わり、毎日、米中を含めた外国人投資家が日本株を売り買いするようになると、日本の株式市場、為替市場は恐ろしいことになるだろう。

10/22掲載 慶應義塾大学 総合政策学部教授 廣瀬 陽子 氏
――プーチン大統領が、今、一番力を入れていることは…。
 廣瀬 経済を復活させることは言うまでもなく、政治では多方面に関心が向いているようだ。対米戦略として、アジア方面では中国と強いタッグを組み、欧州方面ではドイツとの関係を重要視している。ロシアとドイツの間で計画された天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」も建設段階に入っており、EU内で力を持つドイツとの関係を維持できれば欧州に天然ガスを輸出する上で有利になることは間違いない。また、ここ数年、北極圏における戦略にも大変力を入れており、寒さなどに強い新しいタイプの軍事基地を作っている。ソ連時代は北極圏が米国との接点になっていたため、潜水艦などがたくさんあったのだが、冷戦が終わると、一旦軍拡状態はなくなった。それが、ここ10年程、ものすごい勢いで軍拡している。

――ロシアに対する制裁の影響は…。
 廣瀬 最初の頃はそれほど制裁の影響はなかったようだが、一方で、当時はむしろ石油価格の下落がロシア経済を苦しめていた。その後、それまで軽微だった制裁が徐々にロシアの重要産業など肝となる部分に移り始め、その度にロシア経済は苦しくなっていった。特に今年4月、露アルミニウム大手のルサールという会社を対象とした制裁は、関係する産業も多く、ロシア経済に非常に大きな影響を及ぼしている。

――そうなると、プーチン大統領としては日露関係を良好にして日本の経済力を引き出したいところだろう。その点、北方領土問題については…。
 廣瀬 プーチン大統領のブレーンの一人にアレクサンドル・ドゥーギンという地政学者がいるが、彼が自著の中に「日本には北方領土4島を全て返し、ドイツにはカリーニングラードを返して、ドイツと日本を確固たるロシアの仲間として反米仲間を作ればよい」と記していた。私は「なかなか良いことを言うなあ」と思っていたのだが、プーチン大統領は聞き入れていないようだ。最近では北方領土内にも色々な利権が生まれている。択捉島にはギドロストロイという巨大な水産会社があるのだが、その社長ベルホフスキーがものすごい勢いで利権を貪り、リトルプーチンとも称され、実際プーチンとも近いと言われるベルホフスキーの名前を出せば択捉島では誰も逆らえない状況だと聞く。ギドロストロイ社は色丹島にも進出しており、私も実際に色丹島に行きその建設中の工場施設を見てきたのだが、その規模と近代的な設備に圧倒された。プーチン大統領は基本的に1956年の日ソ共同宣言に基づいて「2島返還」で手を打とうとしてきたはずだが、その辺りの利害関係者がプーチン大統領にも2島返還すらしないように入れ知恵しているのではないかとすら感じさせる。

12/10掲載 アラブ首長国連邦大使館 大使 カリド アルアメリ 氏
――さらに発展させていくために、今後、力を入れていくことは…。
 アルアメリ 建国時の目標は経済、幸福度、福祉、治安、教育、医療、全てにおいて世界ナンバーワンになることだ。さらに50年後、100年後の国家ビジョンがそれぞれあり、それに沿った国家戦略で動いている。UAEの規模自体はそんなに大きくないが、インデックス指標の目標数値に向かって着実に進んでいる最中だ。すでに中東地域内での幸福度インデックスは1位になっており、数年前に行った中東の若者に対するアンケートで「どこに住みたいか」という問いに対して70%がUAEと答えていた。UAEは7つの国からできた連邦であるため、色々な文化を尊重して共存・共栄していこうという考え方が根底にある。実際に今、UAE内には約200国籍の人々が共存しており、文化、宗教、言語、習慣が違っても皆が安全で幸せに暮らすことが出来ていることを証明している。むしろ違うからこそ面白い、もっと知りたいと考える人たちがUAEには多く住んでいると言えよう。

――中東と言えば紛争が絶えない地域というイメージが強いが、UAEへの影響は…。
 アルアメリ もちろん、中東地域内で起こっている紛争の影響を受けていない訳ではないが、UAE自体は経済的、政治的、社会的にも安定している。中東のテロと戦争の撲滅は世界中の課題だ。米国で9.11事件が起こった時、世界中がアルカイダというテロ組織を許せないと思い、撲滅のために立ち上がった。しかし、当時アフガニスタンで活動していた小さなアルカイダ組織は、今ではイラク、シリア、リビア、イエメンと世界中に組織を拡大させている。9.11後のテロ対策は失敗しており、テロを利用するために、今でも政治的に、メディア的に、金銭的にサポートしている人たちがいるということだ。

――テロを支援する人たちとは具体的に…。
 アルアメリ 中東問題に詳しい人はすぐにわかると思うが、テロ組織をサポートしている最大の国はイランだ。イランの軍人がイラクやシリア、イエメン、パレスチナ、レバノンなどあらゆる国の政府組織の中に入り込み、自国以外でのイランの存在感を高めようとしている。例えば、レバノンではヒズボラ、パレスチナではハマスといった組織だ。特にヒズボラという組織はレバノンの政党として政治に絡まっている。その政党が掲げるものはレバノンという国への愛国心ではなく、イランへの忠誠心だ。ハマスも同様で、さらにイラクやイエメンにもそういった政党を作る動きがある。イエメンにはイランの影響だけではなくアルカイダとISも含まれている。次のイラク、次のシリア、次のレバノンが集まってイエメンに新たな巨大組織が出来つつあるということだ。イランは1979年に起こったホメイニーを指導者とする革命後、全てが変わった。革命のコンセプトはシーア派の考え方を世界中に広める事だ。イラン以外の国の国民も、シーア派の考え方を持っていればイランがその活動を支援してシーア派の考え方を世界中に拡大させている。どんなに米国やEUや日本が協力して軍事的にテロ組織で戦う人たちを殺すことが出来たとしても、その思想は殺すことが出来ない。考え方というものは若い頃の教育に始まる。若者には教育の先にある希望を与えて、選択肢を与えなければならない。私が中東で一番危ないと思うのはそれらがないという事だ。だから、洗脳されてテロ組織に入ってしまう。この問題を解決しない限り中東は安定せず、経済も発展しない。経済が発展しなければ、希望も選択肢もない。

――UAEと日本の現在の交流について…。
 アルアメリ 現在UAEに住む日本人は約5000人で、これは中東と北アフリカを合わせた中でも一番大きなコミュニティだ。中東のイメージにありがちな女性差別もUAEにはほとんどなく、タクシー運転手にも女性が活躍している。閣僚評議員(大臣クラス)の人数も33人中9名が女性であり、国会議長も女性だ。政府関係の仕事は女性の割合の方が多いかもしれない。一方で日本に住んでいるUAEの人数は120人くらいでその内の約100人は学生だ。UAEは国の人口自体が少ないため100人は多い方で、その留学生たちは「UAEの金の卵」と呼ばれている。日本とUAEは3年ほど前から「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)」というプロジェクトを進めており、今年4月には安倍総理大臣がUAEを訪問し、このプロジェクトに基づいた両国間における経済、文化、安全保障、防衛すべてを含めた長期的な協力戦略に関する共同声明を発表した。具体的には、両国がそれぞれの地域情勢を考えた時に、政治的、経済的にどのようなランドスケープを望んでいるのかをお互いに共有することだ。その望んだ形を実行に移すことができれば、UAEと日本の関係はさらに素晴らしい方向に向かっていくだろう。

1/21掲載 駐日ロシア連邦大使 M.Y.ガルージン 氏
――経済面においてロシアが日本に期待していることは…。
 ガルージン 日本経済界の中でロシア市場に対する知名度が高くなっていくことだ。そのために我々はかなりの努力をしている。実際に、世銀によるビジネス環境ランキングでは一昨年の35位から昨年は31位まで順位を上げた。ちなみに日本は昨年39位だ。今のロシア市場は30年前のロシア市場とは全く違う。もはやロシアで投資環境が良くないという議論はなりたたない。さらに言えば、今、LNGというエネルギー資源の需要が大きくなっているが、日本のLNGの約1割はロシアからきているものだ。2009年2月、日露経済合同プロジェクトとしてアジア最大級のLNG工場を建設し、それから10年間、我々は一度たりともエネルギー資源の流れを中断させていない。これはロシアが信頼できるエネルギー資源の供給国だということを証明している。もちろん、ビジネス環境ランキングで31位になったことを過剰評価している訳ではなく、まだまだロシア内に様々な問題があることは承知している。そういったことを踏まえながら、我々はランキングのトップクラス内に入ることを目指してこれからも努力を続けていくつもりだ。

――日露間での経済関係をもっと深めていくためには…。
 ガルージン 日露間での貿易高は最近増加し昨年は180億ドルに達したが、10年前の300億ドルに比べると少ない。日露間の経済関係をさらに深めるために必要なことは、日露経済協力のポテンシャルをもっと活用することだ。例えば、ロシアの天然資源開発に対する日本の投資拡大ということを考えれば、ロシア北極地帯での天然ガス開発プロジェクトがある。ヤマル半島やバルチック海浴岸地域でのプロジェクトにはすでにいくつかの日本企業が必要な設備を提供したり輸送サービスを担うという形で参加しているが、投資参加はない。そこに投資が入れば露のLNG生産はさらに拡大していくだろう。そして、欧州とアジアを結ぶ最短回路である北極海路を通じて日本を含むアジア各国にLNGが運ばれていく。是非そういったプロジェクトに日本企業に参加してもらいたい。それが日露経済、貿易、全てを含めて両国関係全体の利益に寄与していくことになるだろう。

――日本は米国の意向に左右されることが大きい。ロシアから見た米国と中国について…。
 ガルージン 米国が日本とロシアの関係を阻んでいることは間違いない。米国は一方的にロシアや中国に経済制裁を発動させる。それがアメリカのやり方であり、我々はそれを厳しく批判している。また、米国や欧州からは中国を覇権主義だと敵対視する動きもあるようだが、私は中国が覇権主義政策をとっているとは思わない。むしろ自分が好ましくない国の内政に武力行使も含めて干渉している欧米の方が覇権主義であることは明らかだ。中国は我々の良き隣人でありパートナーだ。約4000kmもの国境を共にしているが一度も中国が覇権主義政策を行っているところを見たことはない。中国とロシアの間には防衛政策に関する協議も行われており、透明性を保ちながら共同軍事演習も行っているし、国境からお互い数百mの地点まで大きな軍隊を引き揚げるという合意もあり、中国に対して脅威を覚えたことはない。さらに言えば、我々は中国の一帯一路とロシア、ベラルーシ、アルメニア、カザスフタン、キルギスによるユーラシア経済連合を結びつけてシナジー効果を図るという構想も打ち出している。これは2015年にプーチン大統領が提唱している大ユーラシアパートナーシップ構想の重要な一環になると考えている。

2/25掲載 浜松市長 鈴木 康友 氏
 鈴木 日本人の子供は義務教育を受けさせなくてはならないという決まりがあるが、外国人の子供たちは、教育を受ける権利はあっても義務はない。そうなると、生活に窮している親は子供の教育が後回しになり、子供は公立学校にも外国人学校にも行かなくなる。子供の将来が非常に心配になる。そうならないように、浜松市では居住実態と学校にある名簿を突き合わせて調べ上げ、就学に結び付ける不就学をゼロにする取り組みを行っている。一方、外国人受け入れ約30年の歴史の中で第2世代、第3世代の人たちが育ってきているため、今まで支援される側にいた人達が、今度は自分たちの後輩のために支援する側に回っているというような好循環も見られる。言えることは、外国人労働者は必ず定住するということだ。そして、今回の政策が結局のところ移民受け入れになると考えるならば、社会統合政策が必要になる。生活していくうえで必要となるあらゆることをきちんと整えて受け入れをしなければ、大変な混乱を招くことになるだろう。

――今、国で議論していることは浜松市で既に通ってきた道…。
 鈴木 今まで外国人労働者の受け入れは特定地域の問題として国では対応していなかったが、今度は国として受け入れを宣言した。新設される在留資格「特定技能」は1号と2号に区別しているが、結局1号だけで済むはずはない。1号認定で入国して5年働き、せっかく仕事を覚えて戦力になった人材を企業は手放すだろうか。企業は使える人材であればもっといてほしいと願い、外国人労働者はそこで2号に変更して家族も呼び寄せ、定住する。実際に浜松市には約2万4千人の外国人がいて、その8割が長期滞在可能な在留資格を持っている。つまりそれは移民であり、日本はすでに移民国家になっている。今回、法務省の管轄下で出入国在留管理庁が創設されてそこで社会統合も受け持つことになっているが、やはり内閣府に「外国人庁」のような省庁横断的な組織を作るべきだというのが私の昔からの考えだ。いずれにしても日本は外国人を受け入れざるを得ない。今後、海外との障壁を排除して経済活動を一体化していくとなると人も動くことになるからだ。そして、そこで必要となるのは、国と自治体の役割を明確化することだ。国は制度を整備して財源措置を行い、自治体はその支援を受けて現場で取り組む。浜松市くらいの規模ならば色々なことが出来るが、例えば人口1万人以下の自治体で同じように手厚いことを行うのは難しい。そういう意味で言えば、県の役割も大事だと思う。教育にしても、浜松市は政令指定都市であるため教職員の配置や給与負担も市が行っているが、政令指定都市でない場合は外国人のための支援方法なども殆ど県が決定権を持っているからだ。そういったことを考えると外国人労働者の受け入れは小さな市町村では非常に難しいだろう。

3/4掲載 早稲田大学 法学学術院・法学部教授 上村 達男 氏
――日産自動車(7201)のゴーン前会長逮捕をどう見るか…。
 上村 ゴーン氏らは日本の法制度を甘く見ていた可能性が高い。今回の逮捕の具体的な問題以前の日本の法に関する課題について考える必要がある。非西欧国家日本は軍事力や経済力では西欧に比肩するところまでいく。法律や規範といった面でも、六法や司法制度、検察制度などは明治の先人が一生懸命学んで、そこそこのものを作ってきた。しかも、外国語をほぼすべて自国語(日本語)にして法律学が成りたっている例外的な国だ。しかし、西欧が必ず失敗してきた大規模株式会社、金融・資本市場法制という最大の難物を前にして完全に挫折している。欧州ではローマ法や啓蒙思想、市民革命を経て、法がもっとも西欧的な文化の基礎をなしている。しかも制定法などの文章で表現されていない規範意識が法を形成している部分が大きいため、これを乗り越えることは容易なことではない。英国に憲法典はないが、実質的な憲法はある。自主規制にも制定法並みの権威がある。生き馬の目を抜くような世界である金融・資本市場や証券市場と一体の公開株式会社法のように、日々連続的にルールメイクと法執行を同時進行的に実行していかなければならない先端分野に至り、「法」の壁の厚さを超えられないでいる。明治の法典編纂時代は不平等条約の撤廃、戦後改革はGHQという外圧があって対応せざるを得なかったが、ここへ来て、かつてのような外圧なしで自力でもっとも複雑な問題に対応できずにいる。その辺を、こうした分野で失敗の経験を重ね、こうした分野でも対応できる制度を構築してきた先進諸国は、制度的な対応ができていないにも関わらず最先端の金融技術や大規模公開株式会社を運営しようとしている日本の弱点を熟知している。富国強「兵」、富国強「財」に次ぐ、富国強「法」こそが近代国家日本が乗り越えなくてはならない最大の壁といえる。

――日本では法制度の運用が甘い…。
 上村 東芝(6502)の経営陣も結局は逮捕に至らなかった。日本の検察には起訴したら必ず勝たなければならないという主義がはびこるため、有価証券報告書の虚偽記載や税法、外為法違反など、立証しやすいものばかりを立件してきた。金融・資本市場や大規模公開株式会社の世界では、大胆な法運用を行って判例法を形成していく責任が検察にはあるのだが、そうした努力を怠ってきた。ゴーン氏の逮捕時は18年6月の司法取引導入後であった点では東芝事件と異なっている。これまでの日本のこの分野の制度運用を見てきたゴーン氏らは、日本では何をしても大丈夫だと思っていた可能性が高い。あるいはゴーン氏がそれを知らなくても、彼を取り巻く専門家やコンサルの甘い認識を信じたかもしれない。しかし、18年6月の司法取引制度の施行で悪質な実質犯の立件もしやすくなった。検察はこれまで虚偽記載などの形式犯ばかり立件していたが、今回は材料が揃い、慣れない実質犯の証明をしなければならなくなった。これで敗訴するようだと態勢の立て直しに相当の時間を要することになるだろう。

――日本の金融資本市場ではルール制定が遅れている…。
 上村 株式会社の歴史は、相場操縦やインサイダー取引、詐欺的な資金集めの歴史だ。日本人が歴史に学ばず、ナイーブな性善説的な発想をとるようでは、先進諸国の美味しい餌食となる。マックス・ウェーバーは100年以上前に、著書「取引所」のなかで、強い市場を獲得するための諸国間の競争は経済の覇権を巡る戦争だと述べた。高速取引を始め、様々な取引手法が過剰なほどに発達した今も、それは変わらない。一流国家の経済規模をはるかに超える売り上げや資金規模を有する企業やファンド間のグローバルな競争は、グローバルなルールも規範意識の共有もないままに、剥き出しの覇権争いを演じている。こうした状況に対して、対抗する手段は国家利益の強調や保護主義の強調しかないかに見える。日本は、こうした厳しい状況認識を深く認識し、法制度の根幹の再構築を柱とした国家戦略をこそ打ち立てていく必要がある。

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