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つくろう、新しい答え

衆議院議員  国民民主党 代表代行  古川 元久 氏

――国民民主党代表代行としてコミュニケーション戦略を担当されている…。

古川 この度新たにコミュニケーション戦略担当を設けたのは、政党でも、単なる広報ではなく自分たちが考えていることをきちんと外に伝えていくことが大事であると同時に、党内で議員や職員の思いや認識をみんなでしっかりと共有していくインナーコミュニケーションが重要だと考えたからだ。これは企業ではすでに力を入れていることだ。今の我が党の状況はベンチャー的な新しい部分がある一方で、厳しい見方をすれば経営が傾いた会社ともいえる。私は、傾いた会社を買い取って、そこに残っている資産を活用しつつ、これから新しくベンチャーとして新規事業を立ち上げようとしているというイメージを持って党幹部の一員として党運営にあたっている。以前の民主党の良い部分は残しつつ、悪かったところはこれを機会に直して、ここから新しい政党を築いていきたい。

――新しい政党が目指すところは、具体的に…。

古川 我々が本当に目指すところは何なのか、そういったところから党内での議論を始めて一カ月。ようやくタグラインとステートメントが纏まったところだ。企業で言えばコーポレートアイデンティティーとなるタグラインは「つくろう、新しい答え」。そこに込められた意味は、未来を見据えてこれからの社会を考えた時にどういうことをしていかなくてはならないか、他の政党が示していない“新しい答え”、その解決策を示していくことだ。世の中は政権与党だけで動いているのではない。野党も必要だ。政治の世界だけでなく社会の現場に入り込んで新しい答えを見つけ、時の政権が間違っていれば勇気をもってその間違いを正し、新しい答えを訴える。ただの否定や反対ではなく、みんなの意見を集めて議論し新しい答えをつくるというのが我々のスタンスだ。人口減少社会、人生100年、AIという新しい時代に対応した社会をつくっていくためにどうすべきか、外からの声を幅広く聞きながら、これから具体的な政策を作っていきたい。未来を考えるという点で、新しい時代の若い世代の声は特に重要だと考えている。

――タグライン、ステートメントの後に続く実際の政策で重要視することは…。

古川 これからの時代の政策を考える上で一番重要なのはサステナビリティだ。社会についても財政についても持続可能性が大切であり、この点、アベノミクスもサステナビリティの観点から検証する必要があると思っている。私の考えでは、残念ながら今のアベノミクスはサステイナブルではない。今の状態を続けることは出来ず、どこかで必ず行き詰まるだろう。人口減少時代でも社会がサステイナブルであるためにどういう仕組みにすべきか、人生100年時代の社会保障をどうしていくのか、AI時代における教育はどう在るべきか、すべてサステナビリティと言う観点から見直していかなくてはならないと考えている。

――外交についての野党の考え方は…。

古川 今、世界の状況が大きく変化しており、それこそサステイナブルではない状態に突入しているように感じる。振り返ると約30前にベルリンの壁が崩壊し、欧州における東西冷戦が終結し、そこから経済におけるグローバリゼーリョンの流れがおきた。今、東アジアで起きつつあることは、その30年前に欧州で起きたことがこのアジアで起きつつあるともいえる。北朝鮮の今後の動向はまだわからない部分も多いが、第二次世界大戦後から続いている東アジアの冷戦構造が終焉を迎える新しい時代に入ってきたのではないか。地政学的にもトランジッションエリアにある今、外交戦略も大局観を持って、これまでの戦略の延長線ではない「新しい答え」が必要だと考えている。

――米中貿易摩擦は新しい冷戦のスタートだという見方もある…。

古川 ある意味それは事実で、安全保障も含めた米中の冷戦という面はあるだろう。約30年前の冷戦終結で訪れたグローバリゼーションは、別名アメリカナイゼーションとも言われていた。そのアメリカがアンチグローバリゼーションを唱えるというのもおかしな話だが、主観的にも客観的にもそういった米国一極集中の世界をつくることはできなくなっている状況で、中国などの新しいパワーが台頭してきている。歴史は繰り返し、昔起きた出来事が形を変えてまた新たな形で似たようなことが起きるものだ。実は2005年頃に東京大学名誉教授の佐々木毅先生が「なんだか最近の世界を見ていると100年前に似ているような気がする」と仰っていて、私はその後100年前と比較しながら世界を見てきたのだが、やはり本当に似ている。第二次世界大戦後、各国が責任をもって世界秩序を維持し安定させようとしてきた時代から、それぞれが各々自国を守るという時代に入りつつある。こういう時代だからこそ、歴史に学びながら今後の日本の外交の在り方を考えなくてはならない。

――代表理事を務めるシンクタンクについて…。

古川 これは党とは一線を画した一般社団法人として設立したもので、衆知の意見を集めることを目的としている。党の直属ではなかなか幅広い人たちに集まってもらうことが難しいが、このような党とは一線を画したシンクタンクをプラットフォームとし、新しいテクノロジーを使ってオープンイノベーションで幅広い声を集めていきたい。かつて松下幸之助翁は「衆知を集める」ことの重要性を説いたが、ネット時代になって、名実ともに衆知を集めることが可能になったと思う。ネットを通じて集まった声の中から新しい政策の種を見つけ出していきたい。このシンクタンクにおいては、議員も参加する。一般市民もすべてみなフラットな平等の立場で声を発し、誰でも自由に参加できるプラットフォームとするこの全く新しい形のシンクタンクは、まさにベンチャー的な我が党がやるべきことだと思う。やってみなくては結果はわからない。とにかくチャレンジして、それで問題があれば修正していくという形で試行錯誤にはなると思うが、いろいろと新しいことにチャレンジして、新しい未来を作り上げていきたい。(了)

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