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「自然エネルギーで科学者が嘘」

筑波大学
システム情報系 准教授
掛谷 英紀 氏

――太陽光や風力は発電効率が悪いと…。

 掛谷 福島第一原子力発電所の事故が起きて以降も、日本でなぜ自然エネルギーの普及が進まないのかというと、政府が推し進めている太陽光発電や風力発電のような自然エネルギーによる発電は、同時に自然破壊を引き起こすためだ。エネルギーの話は、基本的に高校で習う物理と化学で説明できる。例えば、化石燃料である重油1立方メートルを燃やすのと同じエネルギーを、高さ100メートルのダムを使った水力発電で得ようとすると、約4万立方メートルの水が必要になる。水力発電で得られるエネルギー量は高校物理で最初に習う、位置エネルギー=高さ×重力加速度×質量の公式で求められる。この公式に当てはめると、水1立方メートル当たりの質量は1000キログラムで、重力加速度は約9.8メートル毎秒毎秒(m/s²)、ダムの高さは100メートルなので、98万ジュール=0.98メガジュールとなる。一方、重油1立方メートルを燃やしたときに得られるエネルギーは化学の燃焼熱(反応熱)の考えを使い、熱化学方程式を立てると3万9000メガジュールと求められる。つまり、重油1立方メートルを燃やしたときと同じエネルギーを得るには、約4万立方メートルの水が必要になる。高校で理系だった人の大半は、物理と化学を学んでいるはずなので、水力発電の大変さがすぐわかると思う。また、風力発電も高校の物理で計算できる。1立方メートルの空気は1.3キログラムしかないが、同量の水は1000キログラムだ。運動エネルギーは2分の1×質量×速度の2乗で求められる。水力発電のためにダムを建設すると、大規模な自然破壊につながると言われているが、水力発電と同じエネルギーを風力発電で取り出すには、約5倍の土地面積を開発する必要がある。単位面積・体積当たりに取り出すことができるエネルギーをエネルギー密度というが、火力に比べて、水力、さらには風力がいかに密度が低いかが分かるだろう。

――なぜ政府は効率の悪い自然エネルギーを推進するのか…。

 掛谷 風力と同様に太陽光もエネルギー密度が小さく、気象に左右されるため不安定だ。エネルギー密度が低い自然エネルギーの中でも、風力や太陽光の密度は水力以下だ。一方で、日本ではあまり一般的ではないが、地熱発電はエネルギー密度が比較的高く、出力も安定している。カーボンニュートラルを目指して自然エネルギーを活用するのであれば、地熱や水力を推進すべきだが、政府は密度が低く不安定な太陽光や風力を推進している。この理由の1つに、外資系企業が参入しやすいことが挙げられる。太陽光は中国のシェアが高く、風力も中国政府主導で市場を拡大している。しかし、地熱や水力は国内での土木建設工事が必要であるため、外資系企業が参入しにくい。国内の企業の利益や雇用確保を考えれば、太陽光や風力より水力や地熱を推進すべきだ。ところが、自然エネルギー推進派は世界的に左翼色が強く、国境の破壊を目指して動くことが多い。ロシアのウクライナ侵攻でも、ドイツが脱炭素を標榜してロシア産天然ガスにエネルギー源を依存する状態になったことが、ロシアの軍事行動を後押しした。冷戦終結時、表向きには共産主義勢力は弱体化したように見えたが、彼らはその思想的根幹を変えないまま環境運動に流れたというのはよく言われる話だ。

――小池都知事は新築住宅へ太陽光パネルの設置を義務付けようとしている…。

 掛谷 実は、私も自宅に太陽光パネルを設置している。人間の居住するエリアは既に自然破壊をして作られているので、そこに太陽光発電設備を導入しても新たな自然破壊は起きない。ただ、東京をはじめ大都市圏は日照条件が悪いところが多いから、義務化するのはやりすぎだ。高層ビルの屋上など、都市部でも日照条件がいいところに設置するのは良いと思う。しかし、森を切り開くメガソーラーには大反対で、自然を破壊しているうえ不安定な電源が増えて制御が難しくなる。これ以上不安定な電源が拡大すると停電のリスクも増すので、出力が安定している水力や地熱に転換すべきだ。石炭火力でもエネルギー変換効率が高くて排出した温室効果ガスを回収するタイプのものが開発されている。最近では、太陽光発電の自然破壊と不安定性に世間が気づき始め、今度は風力と言い出したが、太陽光と同じように環境破壊につながり、出力も不安定なので使い物にならない。

――世の中に流布している「真実」は作られたものが多いと…。

 掛谷 新型コロナウイルスの起源をめぐる議論が巻き起こったとき、私はおそらく日本の科学界で唯一、新型コロナウイルスは武漢のウイルス研究所起源の可能性が高いと公言した。生物兵器などの意図的な流出ではなく、実験中のウイルスが漏れたのが起源だと考えている。欧米でも研究所起源説は約一年前まで少数派で陰謀論扱いされていたが、今では多数派になっている。一時期、それが陰謀論扱いされたのはなぜか。米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立アレルギー感染症研究所の所長で、バイデン米大統領の首席医療顧問を務めるアンソニー・ファウチ氏という人物がカギだ。米国の新型コロナ対策のトップで、日本で言う政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長のような立ち位置にいる。ファウチ氏は米国内の研究機関の権力を握っていて、米国のエコヘルス・アライアンスという非営利組織にNIHのファンドを出し、そこから中国の武漢ウイルス研究所に研究費が流れていた。新型コロナウイルスはその研究費で生み出された可能性が高い。よって、研究所起源となればファウチ氏も責任追及されるので、箝口令を敷いたと考えられる。裏付けも取れている。米国は情報公開が徹底しており、ファウチ氏と仲間の研究者がどのようなメールのやり取りをしていたかという情報も公開されている。ファウチ氏と話す前は、ウイルス学者たちも研究所起源だろうとメールに書いていた。ところがファウチ氏と打ち合わせをした2020年2月以降、研究者たちの意見がころっと変わってしまった。その後、ファウチ氏に近い研究者はNIHの研究費を多く獲得している。一方、ファウチ氏の影響下にない欧州の研究者からは、研究所起源ではないかという声が上がり始めた。WHOが6月に公表した報告書でも実験室からの流出の可能性も含め、さらなる調査が必要と結論付けている。この点、断定はできないが、塩基配列を見れば99・9%研究所起源としか思えない。公的機関がこれを結論付けるために2年半も掛かったということは、利害関係をめぐり多くの人が隠ぺいを試みたということだ。

――科学者も平気で嘘をつくと…。

 掛谷 エネルギーにしろ新型コロナにしろ、利権が絡むと科学者は嘘をつく。自然エネルギー研究で予算がとれると分かると、できないことをできるかのように語って研究者は予算をとる。地震予知はできないと分かっているのに、それができるようになると語って長年巨額の予算をとり続けた地震学者と同じだ。新型コロナが研究所起源と分かって、研究予算削減や規制強化されると都合が悪い研究者は少なくない。だから、彼らは徹底的に真実を隠し通そうとする。世間一般では、研究者はみんな純粋で真面目にやっている人だと考えられているが、政治家や官僚やマスコミと同じくらい「金目当て」なのだということを知ってほしい。マスコミを「マスゴミ」や「外国の傀儡」などと称し、スポンサーとの関係を勘ぐり、マスコミのことを信じていない人は多いだろう。政治家や官僚も昔から信じられてはいないが、なぜか学者だけは人々の絶大な信頼を勝ち得ている。学者であっても政治家、官僚、マスコミ関係者と同じような高校・大学に行って、机を並べて勉強している。だから、彼らの人間性は似たり寄ったりだ。学問を盾にして嘘をつく学者に対しては、その言動に対して責任の所在をはっきりさせる必要がある。私は2004年から言論責任保証を提案している。これは、正当性がすぐには確認できない主張を行って収入を得る場合、得た収入の一部を預託金として仲介機関に預け、主張の真偽が確定した段階で預託金の返還の有無を決定する仕組みだ。これであれば、言論の自由を担保しつつ、故意に誤った学説を流布する学者に経済的責任を取らせることができる。学問を利用し利権や政治的影響力を与えようとする学者がいることを一般市民が理解し、自分の言動に責任を持つ、オープンな科学的議論の場の構築が喫緊の課題だと思う。(了)

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