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「インド観光にヘルプライン創設へ」

インド
観光省次官
パルヴェズ・ディワン 氏

――今回の来日の目的は…。

 ディワン インド政府観光省では、日本の皆様にインドに関する意識をもっと高めてもらいたいと考えている。それが今回の来日の目的だ。そこで今回は4つのテーマに絞って話をしたい。一つ目は、「ブッダ」について。二つ目は、「インドが一年を通して観光に適した素晴らしい土地である」ということについて。三つ目は、「インドのゴルフコース」について。そして4つ目は、「インドのメディカルツーリズム」についてだ。インドが医療とコラボレーションした観光に取り組んでいることもしっかりとアピールしていきたい。

――日本人がインド観光と聞いてまずイメージするのは、仏跡巡礼だ…。

 ディワン 日本人がインドに対して持っているイメージは、まず「ブッダ」だと思う。日本人にもなじみの深い仏教を広めたのはブッダであり、インドの仏跡を巡る旅は日本人にも良く知られていると思うが、その奥は深い。例えば、ブッダが菩提樹の下で最初に悟りを開いたブッダガヤ(ビハール州)と、ブッダが悟りを開いた後に初めて法を説いたサルナート(ウッタルプラデシュ州)は、ブッダを象徴する観光地としてすでに大変有名だが、その他にも、ブッダが最後に沐浴し、入滅したといわれるクシナガラや、ブッダの高弟であるシャーリプトラの生地で5世紀から12世紀まで仏教研究の中心地となったナーランダなど、訪れるべき素晴らしい場所はたくさんある。こういったさまざまな地方の聖地を紹介することで、日本人の皆様にもっと仏教世界の魅力を感じてもらいたい。

――インドは暑いというイメージがあるが…。

 ディワン インドを何度も訪れる日本人の方ならば、インドが一年を通して観光に適している国ということはご存知だと思うが、多くの人は、インドは非常に暑い国というイメージを持っている。しかし、インドの北部にはヒマラヤ山脈があり、地球上でもっとも標高の高いエベレスト峰をはじめ、7000メートル級の山々が100以上も存在する。ブータン、中国、インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタンと6つの国にまたがり、延長2400キロメートルにもわたるヒマラヤ山脈周辺の温度はマイナス45度まで下がることもあり、ここは人が住む地域のなかでシベリアに次いで世界で2番目に寒い地域と言われている。そういった場所は夏場の避暑地として最適だ。また、チェンナイの東側ベンガル湾に沿って延びるマリーナ・ビーチは、世界で2番目に長い海岸として有名な観光スポットとなっている。

――インドにはハイレベルなゴルフコースもあるそうだが…。

 ディワン インドにおけるゴルフの歴史は古い。カルカッタにはイギリスを除いて世界最古といわれる伝統的なゴルフコース「ロイヤルカルカッタ ゴルフクラブ」があり、また、デリーには都市中心部に「デリーゴルフクラブ」という、世界的な大会も開催されるゴルフコースがある。価格も日本でプレーするよりもかなり安く、日本人の皆様に必ずや喜んでいただけるだろう。もちろん、多くのゴルフクラブが富裕層者向けに営業をしているため、会員の紹介がなければ利用できなかったり、見ず知らずの人が来ることを拒むようなところもあるが、例えば観光で行く場合は、パッケージツアーなどで短期会員になれば利用が可能で、日本とは違ったゴルフコースを思う存分楽しむことが出来る。

――メディカルツーリズムにも力を入れている…。

 ディワン 英国で活躍する医者はインド人が多いのをご存知だろうか?実際に英国のNHS(国民保健サービス)にはたくさんのインド人医師が働いている。それほどインド人の医療技術が高いレベルにあるということだ。インド国内にはハイテクノロジーを駆使した最先端の設備が整い、医療従事者の質は非常に高い。その医療技術をどこよりも安い価格で提供するのがメディカルツーリズムだ。外国で医療を受けることに対しては言葉の不安もあるだろう。そういったことを考慮して、すでに主要な医療施設には通訳者を備えているが、今後、さらに日本とインド間でのビジネス関係が確立されれば、日本語の通訳者も常駐させていくつもりだ。

――インド国内では女性暴行事件が多発しており、治安を心配する声もあるが…。

 ディワン 確かにインドでは毎日のように強姦事件が発生しているが、これはインド特有の問題ではない。むしろ強姦事件のランキングではインドは63位でそれほど高くはない。ただ、昨年12月に起きた事件はとても酷いものであり、我々としても非常に残念な出来事だった。これに対してはきちんとした措置が執られており、政府として二度とこのような事件が起きないように、警察と協力してきちんとした活動の展開に努めている。インド人女性による抗議の声も高まっており、今後こういった事件や行動に対しては、より厳しい処罰がなされるようになるだろう。

――インド政府観光省の今後の取り組みは…。

 ディワン 観光省としては、今後一年間で世界各国の主要な言語に対するヘルプラインを作りたいと考えている。例えば日本人がインドを訪れ、何か困ったことがあっても、指定されたフリーダイヤルに電話をかければ日本語で対応してくれるシステムだ。そこには、インド人の日本語通訳者ではなく、日本人で日本語を話す人を常駐させる。そうすることで、よりスムーズに情報を提供することが出来て、インドを訪れる日本人女性も安心して頼ることが出来る。同時に、今はネット上での情報も重要なので、そのあたりも早急に日本語での対応を整備していきたい。

――日本の政府に要望することは…。

 ディワン 日本政府の皆さんは大変協力的で、色々な対応をしてくださっている。今後、日本からの金銭的な支援は特に必要としていないが、技術的なサポートはこれからも是非お願いしたい。観光面では、JICA(国際協力機構)から、アジャンタ・エローラ遺跡保護やウッタルプラデシュ州仏跡の観光基盤整備事業などで協力していただき、これに関しては本当に感謝している。インドには世界第6位となる26カ所の世界遺産がある。我々はインドを訪れた日本人の皆さんに、インドは素敵な国であり、安全であるということを実感してもらうために、これからも一生懸命PR活動をしていきたい。(了)

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