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「コロナ軽視で政権倒壊」記者緊急座談会

記者緊急座談会

コロナ対策で国民はうんざり

――3たび緊急事態宣言が発令された…。

  一言で言うと多くの国民は「うんざり」と言ったところだ。昨年の春から、「ここが勝負どころだ」、「あと3週間の辛抱」など、政府や専門家と言われる人達の精神論的な発言をマスコミを通じて何度も聞かされ、その度に国民は様々な形の自粛を迫られてきた。しかし、一向にコロナは収束しないばかりか、むしろ酷くなっている。またその間も、GOTOキャンペーンや海外からの渡航が再開された途端に緊急事態宣言と合わせて再び中止されるなど、後手後手、ちぐはぐ、無駄使いの政策が眼に余るようになっている。

  それに新年の緊急事態宣言は、引き続き飲食を目の敵にしている一方で、ライブや映画上映は続けられるなど、人と人との接触を徹底的に避けるという内容にはなっていない。もはやかなりの国民が素直に政府やマスコミの言うことを聞かなくなっていることもあり、ワクチンの接種如何だが、感染拡大がダラダラと5~6月頃までさらに長期化するとの懸念も広まっている。むしろ経済のためなら、思い切ってワクチン接種が予定される2月の中旬ぐらいまで全国一斉に緊急事態宣言を発令した方が良いのではないかという訳だ。

検査体制崩壊の次は医療体制崩壊

――保健所を中心とする検査体制が崩壊している…。

  年末年始の感染者急増により保健所の検査体制が崩壊し、感染者がさらに野放し状態になってきている。本紙4日付の新春記者座談会でも指摘したように、保健所が感染力の弱い結核対応の濃厚接触者の検査に終始した結果、感染者を封じ込めることが出来ず、現状はもはや濃厚接触者の検査すら出来なくなっている。かつその間に、感染拡大の見通しが甘く病床の確保も手緩かったため、今度は医療体制が崩壊の危機に直面し、再度の緊急事態宣言を出さざるを得ない羽目に陥った。

  そもそも濃厚接触者という概念自体が不適切で、感染力の強いコロナなどの場合は接触者すべてを検査する必要があった。また、37.5度が数日間続かなければ検査を受けられず、その間に周りの者に感染させている。そしてその結果、前回20年4月6日の緊急記者座談会の予想通り潜在的な感染者が拡大し、今の感染拡大に至っている。

  その点で、前週に広島県の湯崎知事が発表した、80万人へのPCR検査は画期的だった。というより、むしろ東京都を含めた他の知事が何故今までやらなかったのか不思議だ。

  しかし、今に至っては検査体制以上に、急速に患者が増えていることから、医療体制や病床の確保も機動的かつ弾力的な対応が必要だが、前週までのところ相変わらず保健所中心の体制を変えていない。その犠牲者として自宅待機の感染者が急増しており、症状が急変し自宅で亡くなる人も目立ってきた。

医療法の改正を

――コロナ補正を100兆円規模で組み、かつ日本は人口あたりの病床率が世界一高いというのに、なにをやっとるのかね政府は…。

  日本を含め東アジア諸国では欧米ほどコロナの死亡率が高くないため、インフルエンザなどと同様に多くの診療所や病院でコロナの検査や治療を出来るよう、感染症法の適用や感染症法そのものを改正すべきとの意見が医療関係者から聞かれている。また、感染症法だけでなく医療法を改正し専門外の民間病院に対しても、政府が感染症などの治療を勧告にとどまらず命令ができるようにすべきだ。コロナ感染の急拡大はいわば戦争と同じなので、平時の考えで対応していては手遅れだ。何がなんでも国民を守るという精神から、医者も率先してコロナ対策に当たらないようでは、それこそ大赤字の国民皆保険制度を見直す必要もあろう。

  政府は今、コロナを感染症法の新型インフルエンザ等感染症に指定し、より強い規制が取れるようにしようとしている。また、飲食への罰則だけでなく検査や報告、入院を拒否した場合の罰則も導入するという。それ自体はコロナの感染力の強さや、今後も新たな感染症が生まれる可能性を勘案すると必要不可欠の措置だ。むしろ台湾で成功したように感染者の氏名と行動歴の公表や医薬品の価格統制と配給制、米国のような企業への生産命令、諸外国と同様の夜間外出禁止令などの法的準備も整えておくべきだ。

戦争状態の備え必要

  コロナ対応でも改めて日本の平和ボケがよく出た。なんでも前例踏襲、法律遵守、責任回避、自分大切という悪い役人体質が染み付いており、いざと言うときは超法規的な対応も必要という対応が取れない。そんな姿勢だから、竹島も北方領土も尖閣もズルズルと他国に実効支配されていく。これでは、自衛隊予算を増やしても国は守れまい。日本のどこかが攻撃された時に医者が逃げてしまってはお手上げだ。

  コロナ禍を機会に行政のデジタル化がようやく動き出し、加えて多の国と同様に戦時に備えた医療体制も構築できれば良い。また、スパイ防止法の導入や、世界平和と反日対策のためのプロパガンダの世界的展開など、この期に一気に普通の国としての備えが出来れば「禍転じて福と成す」だ。

  確かに守り神である米国の弱体化が日に日に目立ってきている今、日本が独立国家として自立していかなければ、次は中国の属国になり下がろう。しかし、その一方で首相が平気で嘘をついたり、コロナでも政府に都合の良いデータしか公表しなかったり、マスコミも政府広報の様相が強いなか政府の権力を強めると、太平洋戦争の二の舞になりかねない。国民に正しい情報が届かなければ、政府の間違いを正すことができず、ズルズルと敗戦の道を歩むことになる。このため、政治家の嘘を厳罰にしたり、憲法に情報開示義務を盛り込んだりすることも必要だ。

与党の責任は

  コロナ対応で罰則規定を導入する場合、ここまでコロナ禍を長引かせ巨額の借金を重ねた責任を取って、やはりけじめとして二階幹事長の首を国民に差し出すぐらいのことをする必要があるのではないか。二階幹事長はいわゆる勝負の3週間にもかかわらずGOTOを強行させ「令和の大失敗」を招いた張本人というイメージが強いし、「禁断の老人会食」もやってしまった。このままでは、秋の選挙はボロ負けだ。

――トランプ、ブラジル、スエーデンなどコロナを軽視して経済を重視した政権は支持を失っている。日本の野党に政権遂行能力はないが、高齢のバイデンを選ばざるを得なかった米国と同様に、何かしなければ与党が大きく議席を失うことになるだろうね。

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