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軍艦島など嘘の歴史観に対抗

国際歴史論戦研究所 所長  大阪市立大学名誉教授  山下 英次 氏

――「国際歴史論戦研究所」とは…。
 山下 私の専門はもともと国際通貨論だったのだが、大学教授として学生たちに経済をなんとか面白く教えようと考え、20人ぐらいのクラスである「基礎ゼミ」の授業に歴史を取り入れて授業を行うようにした。それが歴史との関わりの始まりだ。高校での歴史の授業は明治初頭あたりの事柄までで終わっていたため、ほとんどの大学生が近現代史についての知識が非常に薄かった。そもそも教科書に記載されていることや、テレビやラジオで言われていることも、正しくない情報が多い。その背景にあるのは、GHQ史観だ。義務教育で使われる教材は、戦後、1945~1952年の7年間、GHQの指導の下、米国の統治に都合の良い歴史観に基づき作られたもので、それによって日本国民はいわば完全に「洗脳」されてきたといえる。さらに、「洗脳」された人たちが教育者や政治家、メディアなどに入り込み、今の日本を先導してきており、まだ「洗脳」は続いているということだ。実際に日本の官僚には今でも米国べったりの考えの人が多い。その「洗脳」を解いていくためには、われわれが洗脳の解毒剤を提供していくしかない。

――日本人はGHQ史観による歴史を教え込まれてきた…。
 山下 そうだ。ただ、よく探せば、正しい歴史を語っている本や雑誌はいくつもある。そこで私は、自ら信頼できる本当の歴史情報を探し、その知識を生徒たちに教えていた。すると、半年ほどで、学生たちの歴史に対する考え方が変わってくるのがわかった。効果はあるのである。そういったことを続けているうちに、慰安婦問題など、日本の歴史の事で外国から責められるケースが頻繁に起きるようになってきた。慰安婦問題も、いわゆる「徴用工」問題も、南京問題も、みな、GHQ史観が根底にある。

――国際歴史論戦の活動のきっかけとなったものは…。
 山下 2014年の終わり頃、米マグロウヒル社の歴史教科書問題が起こった。慰安婦問題に関し、とんでもない内容の記述が教科書にあったのだが、これに対し、米国歴史学者からそれを擁護するような声明が出たので、私は、2015年、日本の学者50名の署名を集めて、英文で断固反論した。それ以降、こういったケース対して、英語で反論するような活動を始めることにした。そういった流れから、2018年11月、「国際歴史論戦研究所」(iRICH)を設立した。

――今年7月には軍艦島の元島民の方を連れてジュネーブの国連人権理事会に行かれたそうだが…。
 山下 当研究所の創設目的のひとつは、対国連活動で、委員会などで発言することだ。もうひとつは、国際学会や国際会議で、脱GHQ史観の主張を展開していくこともある。軍艦島の話については、韓国側は日本に強制的に徴用されて酷い環境の中で働かされたと主張しているが、それは全く違う。そのため、本当の史実を発信しようと、国連人権理事会と並行してNGOシンポジウムを開き、元軍艦島島民の坂本道徳さんに当時の実態を詳細に語ってもらおうと考えた。また、韓国人学者で落星臺経済研究所研究委員の李宇衍(イ・ウヨン)さんも登壇してくれて、軍艦島で強制労働が行われていたという主張が歪曲した反日プロパガンダであり、事実ではないということを証明してくれた。

――当時の軍艦島の本当の史実とは…。
 山下 朝鮮半島から軍艦島に来た人たちは、より高い給料を求め、自ら志願して出稼ぎ労働者として日本に来た人たちだ。もう少し詳しく言えば、1回目は、日本からの労働者募集に自ら応募してきた人たち。2回目は、官斡旋による希望者の動員によるもの。そして3回目が、終戦1年前の1944年9月に「徴用工」として動員されてきた人たちだ。その時、初めて「徴用」という言葉を用いて動員したが、これも第二次世界大戦中、朝鮮は日本統治下にあったわけであり、本土の日本人との差別はない。労働先が炭鉱という事でそれなりの苦労はあったと思うが、日本国民とほぼ同様の待遇で、給料も相当高かった。スキルによる賃金格差は当然あったが、同じスキルであれば、日本人と朝鮮からの労働者との間で差はなかった。

――それなのに何故、韓国側は軍艦島で行われていたことを、日本による酷い歴史として訴え始めてしまったのか…。
 山下 きっかけは、故・朴慶植という人の発言によるものだ。1929年に両親とともに来日した人物で、元朝鮮大学校の教授も務めた在日朝鮮人だが、彼が親北朝鮮の立場から、日本と韓国の仲が良くなりすぎることを懸念し、3回にわたる朝鮮人労働者の受け入れを全て「強制連行」だと主張し始めた。1965年、日本と大韓民国との間の基本条約(日韓基本条約)の時だ。日韓関係が正常化すれば北朝鮮は取り残されると考えたのだろう。「徴用工は暴力的に連行され、過酷な環境下で強制労働させられた」などと全く偽りの話をしたのが、この問題の始まりだ。

――軍艦島を明治日本の産業革命遺産の一つとして世界遺産に登録しようとした際にも、韓国側が反対して一悶着あったそうだが…。
 山下 日本は軍艦島を「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界文化遺産に登録しようとしたのだが、それに韓国が反対し、登録の条件としてユネスコ委員会に「軍艦島で強制労働が行われていた」と明記することを求めた。最終的に当時の日本政府の妥協で ”forced to work”という文言が明記されることで登録決定となったが、この言葉をめぐっては日本側と韓国側に大きな解釈の違いがあり、未だ解決には至っていない。当時、日本政府がもっと毅然とした態度をとり「単なる出稼ぎ労働者」としていれば良かったのだが、曖昧に済ませようとしたばかりに、韓国を増長させることになってしまった。韓国側は嘘の話をベースにした漫画や映画(2017年)を作って、あたかもそれが事実であるかのようなイメージを作り上げている。

――日本政府としても、言われっぱなしではなく、きちんとした反論をすべきだ…。
 山下 外務省も安倍政権になってからは、かなり変わってきているようだ。ただ、こういったセンシティブな問題については、外務省本体が表立って反論活動を行う事は難しいので、外務省とは全く関係のない所で我々のような活動を行う部隊を作る必要がある。今年は、日本が世界で初めて、国際社会で人種差別の撤廃を提案してからちょうど100年になる。1919年、パリ講和会議で、国際連盟規約に、それを盛り込むよう提案した。日本は、それ以降も第2次世界大戦が終わるまで、国際社会で人種差別撤廃運動を続けた。そうしたことが実って、戦後、100カ国以上の国々が、植民地から解放され、国家の独立と民族自決を果たした。このような人権人道上素晴らしいことを成し遂げた国は、人類史上ほかにない。これからも我々は、誤った日本批判を正すための活動に力を注いでいきたい。(了)

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