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米国の次の標的は日本か

米国の次の標的は日本か

 中国叩きを継続している米国の次の標的が、日本となる可能性が懸念されてきた。日鉄によるUSスチール買収失敗で、米政府に対する日本政府の外交力のなさと、失敗の背景にある日本政府の米国民感情への無理解さが改めて表面化したためだ。バイデン、トランプ新旧大統領ともに買収を認めないと日鉄を拒否しているにもかかわらず、いまだに日鉄、日本政府ともに自分たちの正当性を主張し続ける姿勢をとっており、かつ日本のマスメディアも同調していることで、日本が徹底的に叩かれることになったバブル時の様相をほうふつとさせている。今の米国の標的は中国であり直ちに日本が叩かれることはないが、パールハーバーや自動車輸出、バブル時の米国買い占めなどで米国民が持っている侵略国家という潜在意識を、いつかは米政府が政治利用してくることを早くも警戒すべき状況となってきた。
 米国から標的にされたら、太平洋戦争、「バブル崩壊敗戦」と同様に日本が勝てる相手ではないことは言うまでもない。バブルとバブル崩壊は今の中国と同様に、日本アンカー論で政府・日銀を乗せて金融緩和を長期化させてバブル発生の元をつくり、その後の崩壊の過程では銀行の国際資本規制などによって株価と土地を徹底的に下落させ、金融敗戦をもたらした。今の中国叩きも、そもそものスタートはリーマン・ショックによる世界不況対策としての「中国機関論」であり、当時の米中は今と全く異なり蜜月関係にあった。その点、中国を仇(かたき)役としている今の間は米国政府は日米同盟を強調し続けるであろうが、その間は再び仇役にされないように、親米外交の一段の強化と米国民へ親日プロパガンダを徹底すべき時期でなのである。
 とはいえ、石破首相は日鉄事案で抗議の姿勢を示しており、米国民の潜在的な警戒感をくすぶり続けさせている。また、いまだにトランプ次期大統領との面談の予定も組まれておらず、トランプ外交の蚊帳(かや)の外に置かれる懸念すら感じさせる。これでは株価は上がらない。大丈夫か日本。

(2025年1月8日)

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