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「中国狩り」の公算は

「中国狩り」の公算は
 「赤狩り」ならぬ「中国狩り」となる可能性(公算)はどの程度あるのだろうか。赤狩りとは、米ソ冷戦のなかソ連のプロパガンダを恐れ、米国が行った共産主義者および共産思想への弾圧。周知の通り冷戦は米国が勝利し共産主義は下火となったが、今の新たな局面は米中新冷戦の様相が強まるなか、いわゆるチャイナスクールなどの親中人脈への圧力がどの程度強くなるかだ。米国では中国のプロパガンダに使われているとされる孔子学院が次々に廃止されており、先端分野での中国人留学生の排除も行われている。また、豪政治家への中国のスパイ活動や台湾総統選挙への介入などの親中工作が相次いで報道されているのも周知の通りだ。一方で、日本の親中派の人々のなかには、かつての日中友好の掛け声に踊って、自国の利益を度外視したり多少の法律違反をしてしまったり下半身の弱みを握られたりしている輩も少なからずいよう。この点、自民党の秋元衆議院議員関連の外為法違反容疑がどのような意味を持つのか、米中経済のデカップリング(分離)の進展と合わせ注目される。
 日本ではご承知の通りスパイ防止法もなく、よって豪州や台湾で行われているようなことはやり放題だ。マスメディアにもその手の勢力は相当数入り込んでいるとも言われており、日本でのスパイ活動は全く無視されている。中国政府が国民全員のスパイ活動を法律で奨励しているにもかかわらずである。一方で、米ソ冷戦のように米中冷戦が激しくなれば米中間の経済交流がなくなることはもとより、米国側に付く国々と中国側の各国との経済交流も断交。世界は2つの経済圏の争いとなり、「思想戦」を含めた「武力を使わない戦争」が激しさを増そう。
 もちろん足元では米国は中国経済とのデカップリングを否定しており、中国はそれ以上に強く否定し、かつ恐れている。しかしながら、中国が強敵であればあるこそ、米国はあらゆる手段でつぶしにかかろう。それが勢いを増した時、日本の識者は想定外では済まされまい。

(2019年12月25日)

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