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日銀の最後のチャンス

日銀の最後のチャンス
 12月の金融政策決定会合は、日銀がマイナス金利を実質的にやめる最後のチャンスとなる可能性がある。米国の利上げが12月に見込まれるうえに、先週の米中首脳会談などで当面はリスク回避の円高になりにくいためだ。また、来年には、10月に消費税上げが予定されていることから、その前後には利上げ方向の金融政策の変更は実施しにくい。加えて、来年の米国の利上げの可能性もあと1〜2回程度に後退しており、日米金利差から再び円高となりやすい。とはいえ、地銀の過剰な不動産融資などマイナス金利の弊害が表面化してきているため、日銀としてもなるべく早くマイナス金利は止めたいところ。中短期債の変動幅をプラス・マイナス0・2%幅の調節に移行するなど、円高とはならずにマイナス金利をやめる工夫を断行すべきである。
 大規模緩和とマイナス金利の弊害が表面化していることは本紙がいち早く取り上げているが、それがさらに長期化すれば将来の不良債権が拡大して金融不安となり、デフレ脱却どころの騒ぎではなくなってしまう。実際、スルガ銀は1000億円の大幅な赤字を発表したばかりだし、それに続く地銀や信金の名前もくすぶっている。また、マイナス金利による運用難対策としての私募ファンドや仕組債投資も不良債権の潜在候補であるなど、「背に腹は代えられない」金融機関により、あらゆるところに黒田緩和の副作用が広がりつつある状況だ。
 一方で、日本企業の海外進出による人と物のグローバルな流動化により、マネタリーベースの拡大や人手不足が必ずしも物価上昇に連動しないことが、黒田緩和の過程で明らかになってきた。また、超低金利は最大の債務者である国に富をシフトさせ、その分、富裕層や年金生活者からも富を奪い、実質賃金の減少による給与所得者の消費鈍化と相まって、デフレ要因にもなっている。
 もっとも、黒田日銀総裁が為替マフィアとして、円・ドル相場を自由に操れれば、話は別であるが。

(2018年12月5日)

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