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日本は感染拡大が長期化も 緊急記者座談会 4月5日実施

緊急記者座談会 4月5日実施

――本紙の予想通り、東京オリンピックの延期決定後に、日本での新型肺炎(武漢ウイルス)の感染者数が急増してきている…。
 A とても分かりやすい(笑)。そして、緊急経済対策発表と相前後して、政府の緊急事態宣言が発令されるというのが本紙の予想だ。同様に、中国からの入国を禁止することは出来ないのではと2月12日付け朝刊で予想したが、やはり習近平国家主席の来日が中止になった3月5日の段階でようやく中国人の入国規制を発表した。

  日本政府は、感染拡大の阻止より中国人観光客の経済効果や習近平国家首席の来日と東京五輪が重要だった、と批判されても止むを得ない。百歩譲って武漢ウイルスの危険性がインフルエンザ並みに軽微だと考えたとすると、それはそれで合理的な考えだろう。しかし、足元の政府の緊急経済対策などの対応は、明らかにインフルエンザを大きく超えている。となると、当初は政府の武漢ウイルスに対する危機意識が相当低かったという失政になろう。

「アベノマスク」は世界の笑い者に
 C 当初もそうだが、今でも政府の危機意識はかなり低いのではないか。それを物語っているのが「アベノマスク」だ。一世帯二枚のマスクを配布するという案が2月初旬に出されたならともかく、国民が2か月以上マスクを待ちわびていた4月1日の発表ではやはりエイプリルフールだ。世界からの笑い者にもなってしまった。

  「アベノマスク」は経産省の官僚が1か月前に切り札として考案したと報道されているが、確かに大間抜けだよね。その批判を深刻に考えたのか急遽、給付金を30万円に引き上げたことはそれなりに国民から評価されている。しかし、問題は給付金の対象先で、非課税所得以下に収入が減少した所帯など極端に対象範囲を限定すれば、給付に時間がかかるし国民の評価も尻すぼみになる。

  日銭を稼ぐ仕事の2~3月の売り上げは2~5割減が当たり前で、当然それらで稼ぐ人々は足元の生活が苦しくなっている。タクシーの運転手さんなど会社に前借りしたりサラ金に駆け込んだり、五輪を期待し借り入れをしてリニューアルした店舗や増築したホテルなども相当苦しい。イベントなどを含め緊急事態宣言の発令後はもっと収入が減るだろうから、きちんと何らかの形で保障をしなければ次の衆議院選ではボロ負けだろう。

  その点、7日にも発表される経済対策の規模だが、与党提言の真水(財政支出)で20兆円では当然足りず、本紙では55兆円規模の真水を提言している(4月1日付け朝刊)。給付金と同様に急遽増やして30兆円ぐらいの真水を打ち出すのかもしれないが、いずれにせよ「リーマンショック時以上の規模」という単なるどんぶり勘定だろう。4~6月期のGDPを30%弱減少すると予想し、220兆円の対策を打ち出している米政権と大違いだ。

知性の無さが原因
――危機意識の足りなさに加え、どんぶり勘定か…。
 C それは、今の政治家と官僚・役人の気質をそのまま反映していると言って良い。彼らの多くは学校や職場で勉強した知識は豊富だが、今の事態をよく観察し良く考えて問題や危機を乗り越えていく知性が無い。何かと言えば法律や前例をもとに責任回避の行政を行うだけで、よって武漢ウイルスのような新しい危機にはからきし弱い。官僚や役人が法律や前例を盾に動かないのはまだ分かるが、多くはその役人の言うことに政治家が従ってしまってリーダーシップをとれないのが今の日本の政治情勢だ。トランプ大統領やドテルテ大統領の爪の垢でも煎じて飲ませてもらったら良い(笑)。

  知性の無さといえば、中国やWHOの言うことを鵜呑みにしてしまったことも、日本政府の危機意識の無さに拍車をかけて対策を後手後手にした。すなわち、世界的なパンデミックにはならない、このため中国人を入国規制するのは問題だ、若年層は感染しても軽症、致死率は2~3%台と低い、2月中にピークアウトする、などの情報や主張を中国や WHOは展開。中国人が大量に活動していたイタリアなどで感染が広がると、今度は中国は、世界的な感染拡大は欧米のせいと主張するとともに、米の軍人が中国に武漢ウイルスを撒き散らしたとも喧伝した。

NHK責任者を視聴者投票に
 C こうした中国やWHOの主張を日本のNHKが概ねそのまま報道し、中国のプロパガンダに一役買っていることも大問題だ。NHKの中国寄りの報道は今に始まったことでは無いが、今回のように国民の健康や生命を危うくする情報がたれ流されていることは看過できない。報道の責任者に責任を取らせるなり、NHKがそうしたことをしないならば、世界に拡大している中国への損害賠償訴訟やWHO事務局長のリコール運動と合わせ、NHK責任者のリコール運動も展開すべきだ。

  国民がNHKの受信料を払っているのだから、何れにせよ何らかの形で国民の意見を反映させるのは当然のことだろう。株主総会と同様に年に1度の割合で視聴者投票をするとか、そうでなければ受信料を全額国費にし、政府にその責任を取らせるのも良い。今のNHKの形態は民主的では無い。

検査の少なさと自宅療養が大問題
――ところで、感染の今後の見通しは…。
 A 日本での感染拡大はまだまだ長引くし、医療崩壊も覚悟しなければいけないのでは無いか。と言うのは、検査が一日数千件と海外に比べまだ極端に少なく、これが感染拡大の原因になっているとみられるためだ。直ぐに検査しないため、患者が病気の原因を求めて何軒もの病院を回ることが多くの院内感染を生んでいる。今のクラスターと言われる集団発生の場所は病院が最多で、小池知事が警鐘を鳴らした飲み屋では無い。これに対し韓国などは日本の10倍以上の検査を実施していることなどで、既に感染拡大を抑えている。

  それと、小池知事のホテル借り上げは良い案だが、政府が軽症者は自宅療養もありとしていることも問題だ。重傷者を優先し医療崩壊を防ぐための措置としているが、自宅療養の結果、家族にも感染するし、その家族が職場や買い物先などの周りの人に感染させる。それに、医療崩壊といっても、それを言うなら今ごろ人工呼吸器の増産検討を打ち出すのは遅すぎる。2か月前からベッドの増床などと合わせ医療が崩壊しないように、色々準備しておくべきことの一つではないか。検査の少なさなど色々と後手後手に回ったことが原因で感染が拡大してしまった結果、どうにもならなくなりそうなのでその責任回避で飲み屋に行くなとか医療崩壊と言っている感が強い。

  そもそもの感染拡大の最大の原因は、中国人をしばらく入国させたり、検疫でも体温検査だけしかしなかったり、2週間の隔離といっても個々人の自主性に任せ自由にさせた検疫体制のいい加減さだ。また、足元でも入国する人々の検疫は5時間もかかる長蛇の列で、厚労省自体が感染拡大を助長する三密を作り出していると指摘されている。そしてそれは、感染者とそうで無い者を明確に分離しなかったことから感染者が増えたダイアモンド・プリンスの検疫とほぼ同じだ。その点、厚労省はクラスターと言って国内感染の拡大を問題視しているが、国内最初のクラスターはダイアモンド・プリンスの検疫官らであることを国民は認識すべきだし、それをきちんと報道しないマスメディアも問題だ。

米国も警告する日本の検査の少なさ
――そうなると、いくら外出は自粛しても長期化は避けられないか。ただ、死亡者の数が他国と比べ少ないのはどうしてなのか…。
 A きちんとした検査をしないから本当はもっと死亡者が多いのか、それとも日本人はほぼ全員がBCGを摂取し清潔好きで、かつ医療機関も多く国民皆保険だからかなのか。SNSには重篤になった人の体験談が色々と乗るようになったが、やはり相当悪化してもなかなかウイルス検査をしてもらえないといったコメントが目立つ。そうだとすると、武漢ウイルスと分からずに死んでいった人も相当数いるとみていいのではないか。BCGなどによって本当に死亡者が少ないのなら良いが、日本の感染者数と検査の少なさには米国大使館も強い疑問を持ち、直近では自国民に対し日本から退去するよう警告している。

  そしてその結果、在日米軍でも多くの軍人が日本を離れて防衛力が低下したら、中国が中国国民の不満をそらすために日本の尖閣諸島を侵略するとも限らない。日本政府が中国人の入国をしばらく認めていたにも関わらず、習近平政権は今だに日本へのマスク輸出を制限しており、日本政府は中国共産党に完全に手玉を取られている感もある。

――うーん、日本政府の対応はやはり問題ばかりだな。これでは海外の感染拡大がピークアウトしても、日本の株だけは回復しまい。せめてBCGや日本人の清潔さによって感染が最少にとどまることを期待したい…。

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