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TOPインタビュー・ハイライト

TOPインタビュー・ハイライト

1/9掲載 内閣官房 国家安全保障局 国家安全保障参与 黒江 哲郎 氏

――防衛力の整備が一段と重要になっている…。

黒江 冷戦終結後は、「平和の配当」として、軍事費の削減を求める声が世界中で強まった。しかし、周知の通り、ソ連の崩壊は平和の実現どころか、むしろ世界中の地域紛争ぼっ発の引き金となるパンドラの箱の解放を意味していた。中国の軍事力拡大や、北朝鮮の核戦力の保有など、冷戦直後には想像もできなかったような事態も次々と発生しており、日本も防衛費を削減するのは難しい状況となっている。

――北朝鮮のミサイル開発などを勘案すると防衛費を急速に増やすべきだ…。

黒江 自衛隊の装備は極めて高価かつ、製造に時間がかかるものが多い。例えばイージス艦などの護衛艦は起工から竣工まで5年ほどかかるし、戦闘機も3~4年ほど調達に時間が必要だ。最新鋭のF-35などは、非常に高価であるためメーカー側も部品の在庫を持つわけにはいかず、基本的に注文生産となるため、時間がかかってしまう。こうした事情を踏まえ、自衛隊では10年先を見据えて防衛力の整備を行っている。具体的には10年後に中国や北朝鮮などの周辺国の軍事力がどのように変化しているのかを推測し、それに対応するために必要な防衛力を考案し、現状とのギャップを埋めるため計画的に必要な予算を計上している。このため防衛予算は軽々に調整するわけにはいかず、無理に変更すれば将来に渡って悪影響がでてしまう恐れがある。

――防衛産業にとっても大きな問題だ…。

黒江 日本の防衛産業の主要な顧客は自衛隊であり、防衛予算の動向は彼らにとって死活問題となる。米国のように産業規模が大きく、輸出もできるのであれば多少のショックは吸収できるかもしれないが、日本のように産業規模が小さいと、自衛隊の方針転換が産業に与える影響は大きい。ただ、日本の防衛産業にも伸びていく可能性が十分にあるように思われる。産業規模を大きくするのは難しいかもしれないが、高度な技術を活かして、世界の防衛産業において独特な地位を築くことはできるはずだ。例えば米国や欧州など、価値観を同じくしている国々と共同で防衛装備品を開発する中で、日本の技術でしか製造できない部品を盛り込めれば、世界的に日本がなくてはならない国になることができるのではないか。

1/29掲載 希望の党 代表 玉木 雄一郎 氏
――民進党との統一会派結成については…。

玉木 元々は民進党から統一会派の提案を頂いたことをきっかけに、党内の調整や民進党との交渉を進めてきた。ただ、民進党側が意見をまとめきれずに今国会での統一会派の結成を断念すると伝えてきたので、提案を受けた我々としても交渉を一旦打ち切ることにした。今回の交渉では我が党の分党も取り沙汰されたが、もともと希望の党に所属する参議院の3人の先生は日本維新の会との連携を希望していた。衆議院と参議院で組む相手が異なることはおかしいため、仮に衆議院で民進党と統一会派を組んだ場合には円満に分かれようということは事前に決めていた。

――国民からすると、野党は集合離散を繰り返してばかりに見えるが…。

玉木 昨年の衆議院議員選挙で民進党が分裂した影響は未だに尾を引いているが、いつまでも野党が分かれてどたばたしていても国民には何の得にもならない。そこで、会派という国会内での戦い方において協力すべき所は協力し、巨大与党との共同戦線を張るべき、ということで民進党との統一会派結成も検討した。国民にとって政権の選択肢が一つしかないということは民主主義において問題なので、緊張感を持ちながら与党と政策を切磋琢磨できる環境をぜひ作っていきたい。そのうえにおいて、現在の国会での議席数を勘案すると野党がある程度のまとまりを持つことが重要になる。今回は統一会派結成には至らなかったが、個別の法案への対応など協力できる部分については出来るだけ大きな固まりとして共同戦線を構築していきたい。

2/13掲載 杏林大学 名誉教授 国際貿易投資研究所理事 馬田 啓一 氏
――米国のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)復帰の可能性をどう見るか…。

馬田 もう少し時間が経過しなければ真意は分からないが、トランプ大統領は先日スイスで開催されたダボス会議の演説において、再交渉を条件にTPP復帰の可能性に言及した。「米国ファースト」に基づき二国間交渉を軸としつつも、米国の利益になるならば多国間交渉も除外しない考えを示した。しかし、その後行われた一般教書演説においては、貿易不均衡是正の重要性に言及したものの、TPPについては一切触れていない。TPP復帰についてどこまで本気なのかは半信半疑といったところだ。米国では、レーガン政権時代から多国間、地域間、二国間協定の締結という3通りのアプローチを上手に使い分ける通商政策が代々継続されてきた。トランプ政権になって二国間協定のみを追求するようになったが、ここにきて方向転換する可能性もでてきた。背景には、米国の二国間主義にもとづく通商政策がうまくいっていないことへのトランプ大統領の苛立ちがあるとみている。さらには、まとまらないと踏んでいた米国抜きのTPP11がまとまったことへの焦りもある。米国の産業界からの突き上げによって、今年秋に行われる米議会の中間選挙を意識して苦肉の対応をとらざるをえなかったのだろう。

――米国の通商政策の問題点は…。

馬田 トランプ政権は貿易不均衡の是正のために「力ずくの通商政策」を進めようとしている。それは多国間交渉よりも二国間交渉を重視する姿勢をみればわかる。相手の弱みに付け込んで何でも取引材料にして、強引に米国の言いなりにさせようとするエゴむき出しの通商政策をとるつもりだ。しかし、この1年、二国間主義をベースとした米国の通商政策は何も成果が出ていない。トランプ大統領が選挙中に公約として掲げていたTPP離脱は達成したものの、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉は膠着状態に陥り、米韓FTAの再交渉はまだ始まったばかりだ。米国の通商政策は行き詰まっている。問題はやはり露骨に米国ファーストを掲げている点にある。国益重視というのはどの国も考えているが、通商交渉では建前と本音がある。トランプ大統領の場合は、建前を捨てて本音だけで物事を進めようとするため、国際協調もうまくいかない。トランプ大統領はかつて「米国の不動産王」と言われたが、バイ(bilateral)の相対取引しか行わない不動産業界で培った交渉術は、マルチ(multilateral)の交渉が重要な通商政策には必ずしも通用しない。トランプ大統領がTPPのような多国間協定の枠組みの必要性を認識したのであれば、1年経って軌道修正するというのは、いいタイミングだ。オバマ前大統領も2年目に対中戦略を対話路線から強硬路線に軌道修正した。やり方次第で米国のTPP復帰の可能性もある。

3/5掲載 軍事ジャーナリスト 清谷 信一 氏
――陸上自衛隊のAH―64Dヘリコプターの佐賀の墜落事故では、部品に欠陥があったのではないか。またAH―64Dは本当に必要なのか…。

清谷 現時点では断言ができないが、試験飛行前には入念に地上で運転を行う。このため整備不良よりも部品に不良があった可能性が強い。墜落したヘリコプターAH―64Dと、チームを組む偵察ヘリコプターOH―1の調達そのものが失敗だった。OH―1は過去ローターブレード部分に欠陥があって全機飛行停止となり、現在は三菱重工業(7011)製のエンジントラブルで2年以上全機が飛行停止状態だ。うち、2機は現在試験飛行させているが、全機飛行可能となるのは試験飛行終了後9年かかると防衛装備庁は言っている。OH―1は海外の同等品と比べて調達価格は5倍程度の高さにもかかわらず、性能は劣っている。偵察ヘリでは必須のデータリンク機能がなく、データを司令部や他のヘリコプターに送ることもできない。AH―64Dとの交信も音声無線だけだ。現代戦は戦えない。これでは戦闘だけでなく、災害派遣でも役に立たない。ところが、陸上幕僚監部は、震災時はセンサーを搭載した汎用ヘリコプターを使えば良いという。そうであればOH―1は不要ということになる。陸幕装備部に見識がなく、ただ単に国産ヘリを作りたいという「願望」だけで開発が決まった。せめてエンジン部分を海外製の信頼が高い製品にすればまだ良かったが、国産での調達にこだわった。結果元々は250機程度の開発を計画していたところ、調達は合計34機で打ち切られた。これは高い調達単価が理由だが、防衛省の調達は数が少なく採算が取れないため、欧州ベンダーからは調達を断られ、それを国産化するとい更にコストが高騰するから、といった事情もあった。つまりは調達計画が杜撰だったといことだ。

――装備調達の仕方に問題がある…。

清谷 通常軍隊は考えられる脅威に対し装備がどの程度の数が必要か計画し、どの程度の期間で調達、戦力化するか、また総額はどの程度になるかといった計画に基づいて予算を議会に提出する。議会が承認したうえでメーカーと契約をする。ところが、日本の場合はどの程度調達するという計画がないに等しく、いつまでにどの程度の金額をかけて調達するか、重要なことを政治家が知らない。例えば、89式小銃は89年に自衛隊で制式化されてから約30年経つが、未だに調達が完了していない。政治家は調達がいつ完了するか、総額がいくら掛かるか知らない。にも関わらず、予算はおりるため仮に調達が半分しか完了していない時点で戦争が起これば、数が不足した状態で戦闘することになる。この問題の背景には、本来は国防の手段である装備調達を、国産調達という目的にしてしまっていることがある。このため調達が完了し、戦力化されたころには旧式化している。あるいは数が揃わないうちに調達が打ち切られることもある。国産自体が目的化しているために細々と調達が行われるので価格が高騰する。高騰するからよけいに調達数が減るという悪循環に陥っており、諸外国の5~6倍もする装備も少なくない。だが、この問題にも政治家が興味や疑問を持っているとはいえない。さらに、このような状態が見直されず恒常化しているという事実も国民の多くに知らされていない。医療は法律など他の政治分野では在野の専門家によるセカンドオピニオンも期待できるが、防衛に関していえば、それが極めて少ない。政治家は内局や制服組の説明だけがソースでそれを鵜呑みする。その制服組が軍事知識と常識が欠如している。諸外国の動向を学ばず、自衛隊の教範しか読んでいない者も多い。つまり自衛隊内部のことしか興味がない。組織の成り立ちが戦争をしないという前提なので、真剣に有事を考えられていない部分もあるだろう。

3/19掲載 民進党代表 参議院議員 大塚 耕平 氏
――国民からすると、民進党や希望の党、立憲民主党など野党各党の違いが不明瞭だ…。

大塚 民進党、希望の党、立憲民主党は、いずれも元民主党の政党だ。ピザに例えれば土台となる生地は一緒であり、その上に乗っているトッピングが少々違うだけに過ぎない。そのトッピングの違いを強調することが、果たして本当に日本の政治のためになるのかは疑問だ。自民党と公明党の連立政権がスパゲティだとすると、国民の中にはスパゲティではなくピザを食べたい人も大勢いるはずだ。現に、昨年の衆院選の比例票を見ると、自民党の約1855万票に対し、希望の党と立憲民主党の票数の合計は約2076万票でこれを上回っている。衆院選の経緯で民進党が分裂する状況になったこの状況を固定化することが、有権者にとっては本当に望ましいことなのだろうか。民進党の立場としては、特にこの点を問いかけている。

――民進党のカラーをどのように打ち出していくか…。

大塚 私たちは「中道的で新しい党を目指す」ということを機関決定したうえで公言している。そもそも、保守とリベラルという概念は本来対立するものではないが、戦後の日本の政治家とマスコミの誤用や理解不足により、あたかも対立的な概念であるかのように国民の間にまで浸透している。まずはここから脱却しなければならない。そのうえで、現在の安倍政権と野党との間では、時間の許す限り熟議を尽くす民主主義を重んじる勢力か、民主主義を軽んじる勢力かどうかという点で明確に構図が分かれている。確かに野党の間では原発政策や安保政策で多少の考え方の違いはあるが、民主主義を重んじるという1点において協力し合い、選挙協力等を行うことは可能なはずだ。私たちの政党が掲げる中道とは元々は仏教や哲学の用語だが、他者の意見を否定しないというところから中道の論理が始まっている。今後は中道的な新しい立場から、政策面の意見の違いをお互いに認め合いつつ、民主主義を重んじる野党勢力を結集することを目指していく。

3/26掲載 早稲田大学 大学院 経営管理研究科 教授 岩村 充 氏
――先生は日銀に勤めておられた…。

岩村 システムというのは、可能な限り軽いものの方が良い。それは、通貨の発行者である中央銀行システムについても当てはまる。中央銀行が、いろいろな機能を抱え込み、いろいろな責任を背負い込むのは、長い目で見て通貨を不安定にし、また世の中のためにもならない。通貨当局というのは、自分が責任を負うことができることだけにきちんと責任を負えばいいのだ。通貨価値の将来などについても、それを予見可能にして公平なものにすることが大事だ。毎年2%のインフレーションを展望するのが悪いとは言わないが、その場合には基本的に2%の名目金利が同時に実現していなければ、金融システムは公平なものにならない。経済成長が見込めるのなら金利はもっと高くなければいけない。そうした素朴な公平が守れなければ、世の中の人々は、最後には、そうした中央銀行のあり方を否定してくるだろう。そもそも、私は、裁量的な金融政策運営は最小限であるべきと思っているし、それは日銀から離れて20年を経た今でも変わらない。

――仮想通貨の問題点が浮き彫りとなっているが…。

岩村 どんなシステムでも失敗はある。出来の悪い事業者が運営していればなおさらだ。仮想通貨が盗まれて大変だと言われているが、それは仮想通貨自体の欠陥ではない。現金というのは、管理が悪ければ盗まれることもあるし、紛失することもある。だが、それは現金の発行者の責任ではないだろう。盗まれた仮想通貨が戻ってこないのは可哀そうだとも言われているが、当局の一声で盗まれた財産が戻ってくるような仕組みというのは危険な仕組みでもある。ときの権力者に睨まれたら消えてしまうような現金など危なくて仕方がない。現金というのはそういう性質を持つもので、盗まれたら犯人に返させない限り返ってこないということは、現金の最も基本的な性質の一つだ。自由というのは痛みを伴うということを忘れないほうがいい。仮想通貨が盗まれた、だから仮想通貨はない方が良いという発想自体、おかしなことと言える。

1/10掲載 環境事務次官 小林 正明 氏
――現在の環境行政のテーマは…。

小林 環境行政においては従来、公害や自然破壊への対応が中心であったが、最近は循環型社会の実現に向けた取り組みを進めている。公害問題については、河川などフローの部分については汚染対策がほぼ終了している。ただ、湖や港湾に溜まった汚染土壌や地下水汚染といったストックの部分はやっかいで、完全に解決するまでにはなお時間を要する。このほか、アスベストやポリ塩化ビフェニル(PCB)など、人体への悪影響を把握しないまま大量に使用された物質の始末には苦労している。PCBはカネミ油症事件で健康被害が確認されて以降、使用は中止されているが、世の中にはPCBを使った製品がなお出回っており、一生懸命探し出して処理をしている状況だ。アスベストも建材として一時期非常に重宝され、アスベストが使われている古い建造物も残っている。こうした事例を踏まえると、やはり多少の手間や費用がかかろうとも、最初から環境という要素を組み込んでおいた方が結果的にはローコストだということになる。環境への配慮が重要であるとの認識は社会的に共有されてきているのではないか。

――日本が循環型社会を目指していくメリットは…。

小林 いかに安く捨てるかを問題としていたゴミを資源と捉え直していけば、資源の無い国と言われている日本が資源国になる可能性は十分ある。日本では江戸時代から循環型社会という思想はあったものの、昭和の高度経済成長期に環境から成長に一気に舵を切り過ぎたと言えよう。ただ、環境問題が起こってから対策を打つよりも、やはり最初から環境と経済成長を両立する道を選んだ方が社会として合理的であろう。それがまさに循環型社会であり、現在はまさに新しい循環を作ろうとしているところだ。また、脱炭素社会の実現や生態系の保護も大きなテーマであるが、これらを全て叶えた時に社会として一番良い答えが出ると考えている。加えて、循環型社会の実現を目指していくことで、各地域が抱える様々な課題にもしっかり応えることができると実感している。

4/16掲載 金融情報システムセンター 理事長 細溝 清史 氏
――フィンテック普及と共に金融機関のシステム対応が注目されている…。

細溝 当センターの業務は主に3点ある。もともと当法人が設立された理由は、金融機関のオンライン化が進捗するなかで、金融機関の情報システムの安全性確保が求められるようになってきたところにある。安全対策だけではなく、システム監査も含めた基準や指針を、中立的な組織が策定することが求められており、金融機関のみならず、コンピュータメーカーや情報ベンダー、政府など関係者が議論してコンセンサスが形成され、それがデファクトスタンダード(事実上の標準)になってきた。従って、従来通り金融機関の情報システム周りの基準設定が最重要事項だと考えている。2つ目は、金融機関の情報システムに関する調査研究と情報発信だ。足元ではブロックチェーンやスマートデバイス、AI、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などをテーマとしている。実証実験やユースケース(実際の使用例)が見られつつあるなか、今後、その技術や活用の仕方などの情報を収集し、会員等に還元していく。3つ目は、金融機関の情報システムにとって何が脅威であるか、そしてその脅威にどう対応していくかを検討することだ。端的に言えば、サイバーセキュリティが挙げられるだろう。最新のサイバー攻撃の手法やその対応方法などを発信していくことが必要だと考えている。

――今回の基準改定については…。

細溝 『金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書』は30年程前に初めて策定された。当時は自前のメインフレームを持ち、自前で完結するのが主流だったが、その後、共同センターができ、最近ではクラウドの出現など外部委託が当たり前の時代になっており、その時代に応じた安全対策基準を策定する必要がある。このなか、フィンテックの有識者検討会やクラウドの有識者検討会など様々な外部団体との意見交換を通じ、今の時代に適合するために安全対策基準を抜本的に見直す必要が生じ、昨年1年間かけて見直しを図ってきた。今回の改訂では、金融機関の経営者に対してITガバナンスを効かせることを求め、そのうえで均一、一律の基準ではなく、リスクに応じた対策を立ててもらう。ただし、重大な外部性を有する情報システムや機微性を有する情報システムにおいてはシステミックな事態につながりかねないため、そういった情報を扱っているシステムについては相当程度のセキュリティを設けるよう求めている。こういったリスクベースアプローチを取り入れている点が従来の手法と全く異なる。リスクベースアプローチを採用しているため、各金融機関が自らのリスクを考え、対策を立てなければならないが、それは難しい作業であることから問い合わせが増えている。このため、ホームページ上にFAQ(よくある質問とその回答集)を設けたほか、規模や特性等に応じてリスク・対応が異なることから、個別具体例を収集し、発信していくことで金融機関等に参考にしてもらう。そして、6月から集中的に全国説明会を開催し本格的な普及に努めていく。また、安全対策基準を抜本的に改訂したことから、『金融機関等のシステム監査指針』も抜本的に見直す必要がある。システム監査指針を見直すなかで、議論の発展次第では指針から基準への変更もあるとも考えている。

4/23掲載 一水会 代表 木村 三浩 氏
――近日、安倍総理が再びロシアを訪問するが、北方領土の進展具合は…。

木村 北方領土における経済協力活動については、現在、ロシアとの間で8項目の協力活動が行われている。それは米国との関係もきちんと考慮しながら、水面下で、静かに、着実に進んでいると言えよう。実際に、これまでは日本から船でしか行けなかった北方領土に、今では飛行機で乗り入れるようになった。また、今年5月25日に開かれるサンクトペテルブルグ経済フォーラムには安倍総理が出席することも決まっている。それも含めれば、安倍総理とロシアのプーチン大統領とは約20回もの会談を重ねていることになる。ロシアが今、日本に対して評価を高めているのは、英ソールズベリーで起きたロシア元スパイに対する神経ガス剤使用問題への対応だ。これは、3月18日の大統領選挙でプーチン大統領再選を阻むための作為的な反ロ宣伝だったという見方も出来る。そんな中で、日本政府は化学兵器使用に関しては悪だとしつつも、それをロシアが使用したという確かな証拠がない限りむやみにロシアを悪としないという姿勢を貫いている。このように、きちんと事実と法律にかなった判断を行っている日本の行動がロシアの求めているところと合致すると評価している訳だ。特に2018年は「ロシアにとっての日本年」及び「日本にとってのロシア年」であり、4月下旬には自民党二階幹事長もロシアへの訪問を予定している。統一ロシアとの親睦と人的交流を強化するためだ。そこでいかに交渉力を高めてロシアとの関係をうまく築いていけるかが今後の日露関係の進展のカギとなろう。

――ロシアはクリミア問題で制裁を受けているが…。

木村 先日のロシア大統領選挙ではクリミア住民におけるプーチン支持率が圧倒的に高かったことが証明された。つまり、クリミアがロシアに一方的に併合されたという見方は崩れてきている。そんな中で、米国は軍産複合体制を根底に置きながら、ロシアに経済制裁を課しつつ、しかし大統領選での勝利に際し、トランプ米大統領からプーチン露大統領へのお祝いの言葉が送られた。また、伊で再び首相に返り咲いたベルルスコーニ氏は、クリミア問題はロシアに理があると言っている。ベルルスコーニ氏はプーチン大統領と大変仲が良く、ロシアの状況を把握している人物だ。そして、ロシアが日本に対して求めていることと言えば、英のような言いがかりをつけない事、クリミアの状況をきちんと見て理解する事、そして、日露経済協力プラン8項目を進めて実現させる事だ。その大義はすべて、日露平和条約の締結を実現させる下支えになるということだ。

5/7掲載 衆議院議員 塩崎 恭久 氏
――企業の不正会計問題に対する意見は…。

塩崎 東芝(6502)の会計不正では、担当監査法人に行政処分が下された。その後、監査法人は交代となり、行政罰だけでなく社会的にもペナルティを受けている点では十分に「授業料を払った」と言えなくない。ところが、会計不正を実際に行った経営者側では、誰も処分を受けていない。それどころか、証券取引所側の人が、監査法人の監査は必ずしも正しいとは限らないという主旨の発言をした。これでは、資本市場の中心にいる人が監査に不信感を持っているということに他ならず、看過できない発言だ。東芝は2年間の間に内部管理体制に改善が認められたとして、上場廃止を免れた。そうなると、一度は会計不正をしても許されるということになってしまう。つまり、日本の資本市場は健全と言えず、質が問われていると言えよう。

――不正会計に対する処分はどうあるべきか…。

塩崎 資本市場の健全な機能がもし働いていれば、不正会計を行って投資家をだましたという点で瞬時に上場廃止になっておかしくない。ルールに違反すれば、罰せられるということが貫徹していない市場にはならないはずだ。監査法人が行政処分を受けるならば、元々不正会計を行った経営者側の人間も何らかの処分を受けなければならない。首謀者が罰則を受けない国というのであれば、世界的にも示しが付かない。そしてこのような結果を招いた一因としては、証券取引等監視委員会の法的位置づけがあげられる。証券監視委は、いわゆる八条委員会という各省庁の内部に設置される機関となる。この八条委員会の形ではなく、省庁の外局として置かれ独立性がより高い三条委員会の形で、かねてより提案している「日本版SEC」を立ち上げることが大事だ。今の証券監視委は、課徴金を課す場合でも金融庁長官に勧告するという立場になり、自らで実施できないのが現状だ。検察なしに告発もできないままでは、日本の資本主義が健全な機能を発揮することは難しいだろう。

6/11掲載 石垣市長 中山 義隆 氏
――石垣市長3期目の当選勝因は…。

中山 これまで1期と2期でやってきた実績と、3期目に打ち出した政策を市民の皆様がしっかり支持してくださった結果だと思う。保守系から私と現職県議が出馬したことで革新系の候補者が漁夫の利を得るのではという見方もあったが、石垣島への陸上自衛隊の配備反対を政策のメインに掲げた革新系には市民があまり反応せず、もともとの革新支持層の票に留まり予想以上に伸びなかった。結局、次点の革新系候補に4300票差で当選することが出来た。

――これまでの実績で評価された点、そして今期の政策で期待されている点は…。

中山 2013年に新石垣空港が開港したこともあり、観光は右肩上がりに伸びて経済が順調に成長している。併せて、政策に掲げていた待機児童の解消がほぼ実現出来ている。今年度の新しい保育所が開所すれば待機児童はゼロだ。この辺りは大変評価されていると思う。引き続きこの経済成長を継続していくために、今期の政策では、現在2000メートルの滑走路を国際空港基準の2500メートルに延長することを掲げている。現在、海外からの新石垣空港の就航は香港が週5便、台湾が週2便というペースだが、これをデイリーにしていきたい。那覇より400キロメートル南西にある石垣の地理的優位性を生かして、「那覇ではなくて石垣」というようなルートを作りたいと考えている。

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